GUIDE · タイ
【2026年版】タイの恋愛・結婚文化|デート・家族紹介・結納金・結婚式・同性婚まで
タイ人と付き合ったとき、日本人が戸惑いやすいのが「家族との距離」です。恋人を両親に紹介する。結婚前に両家で話し合う。結婚式では結納金を並べ、両親や年長者から祝福を受ける。一方、今のバンコクではマッチングアプリで出会い、結婚を急がず、仕事や経済的な安定を優先する若者も珍しくありません。そして2025年には同性カップルも法律上結婚できるようになりました。昔の価値観が消えたのではなく、「家族が決める結婚」から「二人が決め、家族に支えてもらう結婚」へ。その変化をたどると、現代タイの恋愛観が見えてきます。
更新日:2026年10月9日

タイの恋愛・結婚を理解する鍵は「二人」だけを見ないこと
タイの恋愛は、もちろん一人ひとり違います。
バンコクの若者なら、友人、学校、職場、SNS、マッチングアプリなどで出会い、二人で食事へ行き、旅行をし、恋愛を楽しむ。
この部分だけを見れば、日本と大きく違わないように感じるかもしれません。
しかし、関係が真剣になるほど見えてくるのが「家族」です。
タイの結婚文化は歴史的に、本人同士だけではなく、
・両親
・兄弟姉妹
・祖父母
・親族
・地域社会
との関係の中で成立してきました。
現代では本人の意思が中心になりましたが、「結婚とは二人だけのもの」という考え方だけでは、タイの家族紹介や結納金、結婚式の意味を十分に理解できません。
タイの恋愛・結婚文化で起きている大きな変化は、「家族が結婚を決める」社会から、「本人たちが決めた結婚を家族が承認し、支える」社会への移行です。
伝統がなくなったのではありません。
家族の役割が変わってきたのです。
昔のタイでは、結婚は家と家をつなぐものだった
現在の若者から昔のタイ社会をそのまま想像することはできません。
特に農村社会では、家族と結婚は生活そのものと強く結び付いていました。
歴史的なタイの村落社会では、結婚後に夫が妻の実家またはその近くで暮らす「妻方居住」の傾向が広く見られたことが、人類学研究で指摘されています。
夫婦になるということは、
恋愛関係を作る
だけではなく、
・新しい家族の労働力になる
・土地や家を共有する
・親の老後を支える
・親族同士の関係を作る
という意味も持っていました。
そのため結婚相手は「本人が好きかどうか」だけでは決まらず、家族が相手の家庭や人柄、働きぶりを見ることにも意味がありました。
地域や時代による違いはありますが、過去の農村社会を調べた研究では、年長世代ほど両親や地域社会が相手選びへ関与し、若い世代になるほど本人の選択が強くなった変化も報告されています。
だから今でも「家族に紹介する」ことには意味がある
この歴史を知ると、現代の家族紹介も理解しやすくなります。
タイ人が恋人を両親へ紹介したからといって、必ずしもすぐ結婚するという意味ではありません。
現在はカジュアルに恋人を家族へ紹介する家庭もあります。
ただし、真剣な交際になるほど、
「家族がその人を知っている」
ことが重要になるケースは今もあります。
特に結婚を考える段階では、
・どんな人なのか
・どんな仕事をしているのか
・家族を大切にする人なのか
・責任感があるか
・相手の家庭はどんな家庭なのか
といった部分を両親が気にすることがあります。
これは「親が恋愛を支配している」という意味ではありません。
現代では、誰と付き合い誰と結婚するかを本人が決める家庭が一般的です。
それでも、長期的な関係になれば相手の家族とも関係を作ることになるため、「両親から受け入れられること」が安心につながる人は少なくありません。
現代タイでは「親の許可がなければ恋愛できない」わけではありません。それでも、結婚を考える相手なら家族にも受け入れてほしい、という感覚は現在も残っています。
【デート】出会い方は変わった。でも交際のゴールは一つではない
現在のタイの若者の出会い方は多様です。
・学校や大学
・職場
・友人の紹介
・SNS
・マッチングアプリ
・趣味のコミュニティ
・イベント
など、日本の都市部と大きく変わらない出会い方も増えています。
食事。
カフェ。
映画。
ショッピング。
週末旅行。
コンサート。
カップルの過ごし方も現代的です。
そして重要なのは、「付き合う=すぐ結婚」という関係が弱くなっていることです。
都市化、高学歴化、女性の就業、住宅費、仕事の安定、将来への不安などによって、恋愛と結婚の間に長い時間を置く人もいます。
「若者が結婚を嫌いになった」と単純化するより、
「結婚するために必要だと思う条件が増えた」
と考える方が現代の変化を理解しやすいでしょう。
【シンソット】タイの結納金は「花嫁を買うお金」ではない
タイの結婚文化で、日本人が特に疑問を持ちやすいのが「シンソット」と呼ばれる結納金です。
英語ではBride PriceやDowryと訳されることがありますが、日本語の「持参金」とも完全には同じではありません。
伝統的には、結婚に際して新郎側から新婦側へ金銭や金などを提示します。
ただし、その意味を、
「新郎が新婦を買う」
と理解するのは適切ではありません。
歴史的には、
・新郎に家庭を支える経済力があることを示す
・新婦を育てた家族へ敬意や感謝を示す
・両家の合意を形にする
・新しい家庭の経済的安定を示す
・結婚の社会的な正式性を示す
といった意味を持ってきました。
Thailand Foundationの伝統的な結婚式の解説でも、シンソットは婚約指輪や縁起物などとともに、新郎側が「カンマーク」と呼ばれる婚約品の行列で新婦側へ持参するものとして紹介されています。
シンソットはいくら払うの?
ここには決まった価格表はありません。
金額には、
・双方の家庭
・収入
・社会的立場
・地域
・家庭の考え方
・結婚式の規模
などが影響します。
高額な金銭や金製品を披露する結婚式もあれば、形式的な金額だけにする家庭もあります。
シンソットを行わないカップルもいます。
また、式のために金銭を並べた後、その全部または一部を両親が新婚夫婦へ返し、新生活の資金にするケースもあります。
これは法律で全国一律に決められている制度ではありません。
家庭ごとにかなり違います。
現代のシンソットで重要なのは「相場はいくらか」ではなく、両家がこの伝統をどう考えているかです。同じタイ人同士でも、必要・不要・金額について考え方は大きく違います。
外国人とタイ人の結婚では、ここを曖昧にしたまま結婚直前まで進めないことが大切です。
誰が何を希望しているのか。
そのお金は最終的に誰が持つのか。
式で見せるためなのか。
新生活へ返す予定なのか。
家族同士で事前に確認した方がよいでしょう。
タイの伝統的な結婚式は、二人より「家族」がよく見える
伝統的なタイの結婚式を見ると、家族が重要であることがよく分かります。
地域や宗教によって大きな違いがありますが、中央タイの仏教系の結婚式を例にすると、次のような流れがあります。
| 儀式 | 主な意味 |
|---|---|
| 仏教儀礼・タンブン | 僧侶から祝福を受け、夫婦で功徳を積む |
| カンマークの行列 | 新郎側が婚約品やシンソットを新婦側へ運ぶ |
| 門を通る儀式 | 新婦側の親族・友人が新郎を迎える |
| シンソットの披露 | 両家の合意と新郎側の責任を形にする |
| 両親・年長者への敬意 | 家族へ感謝し、祝福を受ける |
| 聖水を手に注ぐ儀式 | 親族や招待客が夫婦へ祝福を贈る |
| 夜の披露宴 | 食事、スピーチ、写真、ケーキなど現代的な祝宴 |
Thailand Foundationによれば、かつて婚約と結婚は別の日に行われることが多かったものの、現在は利便性のため同じ日にまとめる結婚式も多くなっています。
朝はタイ式。
夜はホテルで西洋式の披露宴。
ウェディングドレス。
指輪交換。
ケーキカット。
写真撮影。
こうした組み合わせも珍しくありません。
伝統か西洋式か、どちらか一つを選ぶ必要はないのです。
結婚式に仏教とヒンドゥー文化が混ざっているのもタイらしい
タイの伝統的な結婚式には仏教だけでなく、バラモン・ヒンドゥー文化の影響も残っています。
縁起の良い日や時間を選ぶ。
縁起物を用意する。
聖水を使う。
夫婦の繁栄や長い結婚生活を願う。
Thailand Foundationは、タイの結婚式に仏教的な功徳の考え方だけでなく、ヒンドゥー・バラモン文化や占星術的な考え方が重なっていることを紹介しています。
前の記事で紹介した「複数の信仰が自然に共存するタイ文化」は、結婚式にもそのまま表れています。
結婚式を挙げても、それだけで法律上の夫婦になるわけではない
ここは外国人にとって非常に重要です。
タイでは伝統的な結婚式と、法律上の婚姻登録は別です。
豪華な結婚式を挙げても、法律上の婚姻登録をしていなければ、法的な「配偶者」になることとは別の問題です。
反対に、役所で婚姻登録を行えば、大規模な結婚式をしなくても法的には夫婦になれます。
つまり、
文化としての結婚
と
法律としての結婚
は分けて考える必要があります。
この点は国際結婚でも重要です。
登録される結婚の数を見ると、価値観の変化が見える
タイ国家統計局によると、全国の婚姻登録件数は2019年に328,875組でした。
その後、新型コロナ禍で大きく減少し、2022年に一度回復しましたが、2023年は279,748組、2024年は263,087組まで減少しました。
2025年は275,653組となり、前年から4.8%増加しています。
婚姻登録数だけから「結婚したくない人が増えた」と断定することはできません。
人口構造そのものが変化し、若い世代の人口も減っています。
それでも、結婚が以前より「当然通過する人生イベント」ではなくなっていることは、タイ社会全体の変化と重なっています。
- 2015年
- 304,392
- 2016年
- 307,746
- 2017年
- 297,501
- 2018年
- 307,936
- 2019年
- 328,875
- 2020年
- 271,352
- 2021年
- 240,979
- 2022年
- 305,487
- 2023年
- 279,748
- 2024年
- 263,087
- 2025年
- 275,653
若い世代は「結婚しない」のではなく、結婚の条件を自分で決める
世代間で最も大きく変わったのは、結婚の価値そのものより「誰が決めるか」です。
以前は、
・家族の意向
・家柄
・地域
・経済力
・親から見た相性
などの影響が今より強い社会でした。
現在は、
・自分が好きな相手か
・価値観が合うか
・一緒に生活できるか
・お互いの仕事を尊重できるか
・経済的に無理がないか
・子どもを持つか
・家事や育児をどう分担するか
といった二人の意思が中心になります。
特に都市部の若い世代では、
「結婚する年齢だから結婚する」
という圧力は以前より弱くなっています。
一方で、家族への敬意がなくなったわけではありません。
「自分たちで決める。でも家族にも祝福してほしい」
という形に変わっているのです。
結婚と子どもも、以前ほど同じ意味ではない
タイでは少子化が急速に進んでいます。
国家統計局の2025年版年鑑では、2024年の合計特殊出生率は1.0まで低下しています。
結婚しても子どもを持たない。
子どもは一人でいい。
経済的に安定するまで待つ。
そもそも子どもを持たない。
こうした選択をする人もいます。
だからこそ現代のタイでは、
恋愛すること。
結婚すること。
子どもを持つこと。
が以前より別々の選択になっています。
そして2025年、タイでは「結婚できる二人」の定義そのものが変わった
タイの結婚文化を語るうえで、2025年は歴史的な年になりました。
2025年1月23日、婚姻平等法に基づく同性カップルの婚姻登録が全国で始まりました。
法律では結婚について男女を前提とした表現が改められ、性別にかかわらず二人の個人が法律上結婚できるようになりました。
家族、財産管理などに関する法的権利も「配偶者」として扱われます。
全国878の地区登録事務所で婚姻登録に対応しました。
制度ができただけではなく、多くのカップルが実際に結婚した
バンコク都の資料によると、2025年1月23日の制度開始から5月末までに、全国で15,286組の同性カップルが婚姻登録しました。
同じ期間の全婚姻登録121,342組のうち12.60%を占めています。
- 同性カップル
- 15,286
- その他の婚姻登録
- 106,056
これはタイ社会の結婚観が大きく変わったことを象徴しています。
それまでにもタイではLGBTQ+の芸能人、BL・GL文化、プライドイベントなどが社会的に目立っていました。
しかし、
「社会で見える」
ことと、
「法律上の家族になれる」
ことは別でした。
婚姻平等法によって、その間にあった大きな壁の一つがなくなったのです。
2025年以降のタイでは、「伝統的な結婚文化を残すこと」と「結婚できる人の範囲を広げること」が同時に進んでいます。
同性カップルでも、
・家族へ紹介する
・両親から祝福を受ける
・伝統的なタイ式の儀式を取り入れる
・ホテルで披露宴をする
・役所で正式に婚姻登録する
それぞれのカップルが自分たちの形を選べるようになりました。
伝統は消えたのではなく「義務」から「選択」へ変わっている
ここまで見ると、タイの恋愛・結婚文化に一本の流れが見えてきます。
昔は結婚が、
・家族
・生活
・土地
・経済
・親族
・地域社会
と強く結び付いていました。
だからこそ両親が相手を気にし、シンソットを渡し、家族や年長者から祝福を受ける意味がありました。
現代では都市化し、経済的に独立して暮らす人が増えました。
本人同士で相手を選ぶ。
結婚しないことも選ぶ。
結婚しても子どもを持たないことを選ぶ。
同性のパートナーと結婚することもできる。
価値観は大きく変化しています。
しかし、
・家族を紹介する
・両親へ敬意を示す
・親族と食事をする
・結婚式で年長者から祝福を受ける
という文化は今も残っています。
現代タイの結婚文化は、伝統が近代化によって消えたのではなく、「必ず従うルール」だったものが、二人と家族が相談して選ぶものへ変わっていると考えると分かりやすくなります。
日本人がタイ人と付き合うとき、何を理解しておけばいい?
最も大切なのは、「タイ人ならこう考える」と決めつけないことです。
家族を非常に大切にする人。
両親とは距離を置いている人。
シンソットを当然だと思う家庭。
必要ないと思う家庭。
盛大な結婚式をしたい人。
婚姻登録だけでいい人。
子どもが欲しい人。
欲しくない人。
同性婚を身近に感じる人。
そうでない人。
同じタイ人でもかなり違います。
だから恋愛が真剣になったら、相手の家庭を一般論で判断するより、
「あなたの家族ではどう考える?」
と本人に聞く方が確実です。
特に、
・家族への紹介をどう考えるか
・結婚する意思があるか
・シンソットをどう考えるか
・結婚式をするか
・誰が費用を負担するか
・結婚後どこで暮らすか
・両親を将来どう支えるか
・子どもを持つか
は、早めに話した方がよいテーマです。
文化の違いによる問題の多くは、「タイでは普通」「日本では普通」と思い込むところから起きます。
タイの恋愛・結婚を見ると、家族の意味が見えてくる
タイの恋愛文化は大きく変化しました。
出会いは自由になりました。
本人の意思が中心になりました。
結婚は人生の必須条件ではなくなりつつあります。
同性カップルも結婚できるようになりました。
それでも、結婚式で両親に手を合わせ、家族から祝福を受ける姿は今もあります。
ここにタイらしさがあります。
「昔の伝統を守るか、現代的になるか」
という二択ではありません。
自分で人生を選びながら、家族とのつながりも残す。
2026年のタイの恋愛・結婚文化を理解するなら、「誰と結婚するか」だけではなく、「二人と家族の関係をどう作るか」を見ることが大切です。
それが、伝統的なタイの結婚から婚姻平等の時代まで変わらず続いているテーマなのかもしれません。


よくある質問
タイ人と付き合って家族に紹介されたら、結婚を意味しますか?
必ずしも結婚が決まったという意味ではありません。現在は比較的気軽に恋人を家族へ紹介する家庭もあります。ただし、真剣な交際になるほど家族に相手を知ってもらうことを重要だと考える人は少なくありません。意味は家庭によって違うため、本人に直接聞くのが最も確実です。
タイのシンソットとは何ですか?
結婚時に新郎側から新婦側へ提示する伝統的な結納金や金製品などを指します。歴史的には、新郎の経済的な責任を示し、新婦を育てた家族へ敬意を表す意味などを持ってきました。金額や必要性は法律で決められておらず、家庭によって大きく異なります。
シンソットは新婦の両親へそのまま渡すのですか?
家庭によって異なります。両親が受け取る場合もあれば、結婚式で形式的に披露した後、その全部または一部を新婚夫婦へ返して新生活の資金にする家庭もあります。結婚前に両家で金額や扱いを確認することが重要です。
タイの結婚式を挙げれば法律上も夫婦になりますか?
結婚式と法律上の婚姻登録は別です。伝統的な結婚式や披露宴を行っただけでは、法律上の婚姻登録とは同じではありません。法的な配偶者となるには、タイの制度に基づいて正式な婚姻登録を行う必要があります。
タイでは同性同士で結婚できますか?
はい。2025年1月23日から婚姻平等法に基づく婚姻登録が始まり、性別にかかわらず二人の個人が法律上結婚できるようになりました。家族や財産管理などについても配偶者としての法的権利が認められます。
タイの若い世代は結婚したくない人が増えていますか?
結婚を人生の必須条件と考えない人は増えていますが、「若者は結婚そのものを嫌っている」と単純には言えません。仕事、収入、住宅費、パートナーとの価値観、子育てへの負担などを考えて、結婚時期を遅らせたり、条件が整うまで待ったりする人もいます。本人の意思を重視する傾向は以前より強くなっています。
