GUIDE · タイ
【2026年版】バンコクで暮らすってどんな感じ?住まい・家賃・住宅価格・通勤から見るタイ人の日常
観光客が見るバンコクには、高層コンド、BTS、巨大モール、高級車が並びます。でも、そのすべてが「平均的なタイ人の暮らし」ではありません。月収2万バーツ前後で郊外から通勤する人、駅近コンドに家賃を払って時間を買う人、結婚後に郊外のタウンホームへ移る家庭、都心の高級コンドや大きな一戸建てに住む高所得世帯。同じバンコクでも、所得、家族構成、住む場所によって一日の景色はまったく変わります。
更新日:2026年10月5日

「バンコクで暮らすタイ人」を一人で代表することはできない
バンコクの暮らしを説明するとき、
「タイ人の平均的な生活はこんな感じです」
と一つの家庭を作ってしまうと、実態からかなり離れてしまいます。
理由は単純です。
・所得差が大きい
・住む場所による住宅価格の差が大きい
・単身者と子どものいる家庭では住宅選びが違う
・BTSやMRTの近くに住むか、自家用車を使うかで毎日の時間の使い方が変わる
例えば、トンロー駅近くの30〜40㎡のコンドで暮らす30代会社員。
トンローは、日本人居住者が多いプロンポンの1駅東にある高級住宅・飲食エリアです。
オンヌットの1ベッドルームからBTSでアソークへ通う人もいます。
オンヌットはプロンポンから東へ4駅、アソークまでBTSで約11分。日本人にもなじみの深いスクンビット沿線にありながら、プロンポンやトンローより住宅費を抑えやすいエリアです。
さらに東のバンナーでは、コンドや一戸建てからBTSや車で都心へ通う生活があります。
バンナーはプロンポンからBTSで8駅ほど東、アソークまではBTSで約20分。スワンナプーム空港方面へつながるバンコク東側の郊外で、近年は大型住宅開発や高級戸建ても目立っています。
もっと外へ行けば、バンコク北西に隣接するノンタブリーや、北側のパトゥムタニーに一戸建てを持ち、高速道路で都心へ通う家族もいます。
日本の感覚でいえば、東京都心へ千葉・埼玉・神奈川から通勤する生活に少し近いでしょう。
どれも「バンコク圏で暮らすタイ人」です。
この記事では平均的な一人を作るのではなく、収入、住まい、通勤の組み合わせから、いくつかの典型的な生活像を見ていきます。
この記事の円換算について
この記事では、日本人読者が金額をイメージしやすいよう、主なバーツ価格に日本円の目安を併記します。
2026年10月5日時点のミッドマーケットレート、
1バーツ=約4.69円
で計算しています。
為替は日々変動するため、日本円はあくまで目安です。
まず、バンコクではどのくらい稼いでいる?
暮らしを考える前に、収入の基準を見ておきましょう。
タイ国家統計局の2026年第2四半期労働力調査では、バンコクの民間企業従業員の平均月給は19,049バーツ。
日本円では約8万9,000円です。
全国平均は14,533バーツ、約6万8,000円。
北部は11,527バーツ、約5万4,000円。
東北部は10,716バーツ、約5万円です。
バンコクの給与水準が地方より高いことは明確です。
ただし、この19,049バーツは「民間企業従業員全体の平均」です。
IT、金融、外資系企業、専門職、管理職などでは数万〜10万バーツ以上になる一方、サービス業や低賃金職ではこれより低い人もいます。
つまり、「バンコクだから誰でも月5万〜10万バーツ稼いでいる」わけではありません。
個人の給与と「家計収入」は別物
住宅を考えるときに、個人の月給だけを見ると実態を読み違えることがあります。
タイ国家統計局が公表している2023年の県別家計調査では、バンコクの平均世帯月収は40,051バーツ、約18万8,000円。
中央値は28,789バーツ、約13万5,000円でした。
全国では平均29,030バーツ、約13万6,000円。
中央値は21,008バーツ、約9万9,000円です。
ここで重要なのは平均と中央値の差です。
高所得世帯が平均値を引き上げるため、「平均4万バーツだから普通の家庭は月4万バーツ程度」とは限りません。
周辺県もかなり興味深い数字になっています。
ノンタブリーは、バンコクの北西に直接接する首都圏の住宅エリアです。MRTパープルラインなどでバンコクとつながり、都心へ通勤する人も多く住みます。
平均世帯月収は36,767バーツ、約17万3,000円。
パトゥムタニーはバンコク北側に広がる県で、ランシットなど大規模住宅地や大学、工業・物流エリアがあります。
平均世帯月収は45,729バーツ、約21万5,000円。
サムットプラカーンはバンコク南東側、バンナーからスワンナプーム空港方向へ広がる県です。
平均世帯月収は32,263バーツ、約15万1,000円でした。
パトゥムタニーがバンコクを上回っているのは、首都圏の生活圏が行政上のバンコク市内だけでは完結していないことを示す一例でもあります。
| 地域 | 位置関係 | 平均世帯月収 | 世帯月収中央値 | 1人あたり平均月収 |
|---|---|---|---|---|
| バンコク | 首都中心部 | 40,051B/約18.8万円 | 28,789B/約13.5万円 | 17,413B/約8.2万円 |
| ノンタブリー | バンコク北西に隣接 | 36,767B/約17.3万円 | 29,350B/約13.8万円 | 16,428B/約7.7万円 |
| パトゥムタニー | バンコク北側・ランシット方面 | 45,729B/約21.5万円 | 36,761B/約17.3万円 | 16,435B/約7.7万円 |
| サムットプラカーン | バンコク南東・空港方面 | 32,263B/約15.1万円 | 28,477B/約13.4万円 | 13,466B/約6.3万円 |
| タイ全国 | 全国平均 | 29,030B/約13.6万円 | 21,008B/約9.9万円 | 10,895B/約5.1万円 |
数値はNSOの2023年県別家計所得調査です。
より新しい全国値として、NSOは2025年の平均世帯月収を28,308バーツと公表していますが、バンコク単体と周辺県を同じ条件で比較するため、ここでは同じ調査年の2023年県別データを使用しています。
同じバンコクでも、住まいにはいくつもの種類がある
日本人がバンコクの住宅というと、高層コンドミニアムを想像しやすいかもしれません。
実際には、暮らし方によって住宅はかなり違います。
アパート
一棟を一人または一法人が所有し、部屋を賃貸するタイプです。
月数千バーツのシンプルな部屋から、外国人向けの高級アパートまで大きな幅があります。
若い会社員や学生向けの物件では、20〜30㎡程度の部屋も珍しくありません。
コンドミニアム
日本の分譲マンションに近い仕組みです。
部屋ごとに所有者が異なり、オーナーが自分で住む場合もあれば、賃貸へ出すこともあります。
バンコクの駅近では、このコンド生活が非常に目立ちます。
タウンホーム・タウンハウス
壁を共有する連棟型住宅です。
コンドより広く、一戸建てより価格を抑えやすいため、郊外では家族世帯に多く見られます。
1〜2台分の駐車スペースがある物件も一般的です。
一戸建て
郊外のムーバーンと呼ばれる住宅地に多くあります。
大規模な住宅開発では、
・ゲート
・警備員
・クラブハウス
・プール
・公園
などを備えていることもあります。
日本人が「バンコクの暮らし」と聞いて想像する高層コンドとは、まったく違う生活です。
| 住宅タイプ | 主な居住者イメージ | 広さ | 主な移動手段 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 低価格アパート | 学生・若手会社員 | 20〜30㎡前後も多い | バス・バイク・鉄道 | 家賃を抑えやすい |
| 駅近コンド | 単身・カップル | 1BRで約28〜40㎡が一例 | BTS・MRT | 通勤時間を短縮しやすい |
| タウンホーム | カップル・家族 | コンドより広い | 車中心 | 駐車場を持ちやすい |
| 郊外一戸建て | 家族世帯 | 複数寝室が中心 | 車中心 | 庭・複数寝室・駐車場 |
| 高級都心コンド | 高所得層 | 一般コンドよりかなり広い場合も | 徒歩・鉄道・車 | 利便性と設備 |
| 高級郊外住宅 | 高所得家族 | 非常に広い | 車・運転手付き車 | 大型住宅+複数台駐車 |
バンコクのコンドはどのくらいの広さ?
「1ベッドルーム」と書かれていても、日本人には実際の広さが想像しにくいかもしれません。
バンコクの新築・比較的新しい一般向けコンドの代表的な間取りを見ると、おおむね次のようなサイズがよく見られます。
| 間取り | 広さの目安 | どんな暮らし? |
|---|---|---|
| 1ベッドルーム | 約28〜40㎡ | 単身・カップル向け |
| 1ベッドルーム Plus | 約34〜46㎡ | 仕事部屋や小部屋を追加 |
| 2ベッドルーム | 約45〜75㎡ | カップル・小さな家族 |
| 高級2ベッドルーム以上 | 100㎡を超える例もある | 高所得層・家族 |
これはバンコク全体の公式平均ではなく、Knight Frankが扱う複数の現行プロジェクトなどから見た代表的なレンジです。
例えばThe Saint Residencesでは1ベッドルーム29〜40㎡、2ベッドルーム53〜70㎡。
Niche Mono Ramkhamhaengでは1ベッドルーム28〜38㎡程度、2ベッドルーム45〜51㎡です。
一方、バンコク中心部の高級物件では、同じ2ベッドルームでも100㎡を超えるものがあります。
つまり「2ベッドルーム」という名称だけでは、生活空間の広さは判断できません。
バンコク中心部のコンドはいくらする?
不動産レポートでは「CBD」という英語がよく使われます。
CBDはCentral Business Districtの略で、日本語なら「中心業務地区」。
オフィス、高級住宅、大型商業施設などが集中する都心部を指します。
この記事では、分かりやすく「バンコク中心部」と呼びます。
例えば、
・アソーク
・プロンポン
・トンロー
・シーロム
・サトーン
・ルンピニー周辺
など、日本人旅行者や在住者にも比較的知られたエリアです。
2026年第2四半期のSavillsによる新規コンド供給データでは、平均提示価格は、
バンコク中心部の主要ビジネス地区で1㎡あたり約237,080バーツ、約111万円。
バンコク東側の都市拡張エリアで約134,086バーツ、約63万円。
バンコク北側の都市拡張エリアで約86,500バーツ、約41万円でした。
ここでいう「東側」は、バンナーやスワンナプーム方面へ都市が広がっていく方向。
「北側」は、ラップラオ、ドンムアン方面へ広がる住宅・交通圏をイメージすると位置関係が分かりやすいでしょう。
調査会社の地域区分は行政区分と完全には一致しませんが、「都心から離れると価格が下がりやすい」という差は非常に大きく表れています。
仮に30㎡の部屋へ単純換算すると、
・バンコク中心部:約711万バーツ、約3,337万円
・東側の都市拡張エリア:約402万バーツ、約1,887万円
・北側の都市拡張エリア:約260万バーツ、約1,220万円
です。
同じ30㎡でも、場所だけで住宅購入費が数百万バーツ変わります。
エリアごとに見ると、暮らしの差がもっと分かりやすい
実際の賃貸市場をエリア別に見ると、バンコクの住まい方がさらに分かりやすくなります。
アソーク|都心の仕事・交通の中心
アソークは、日本人が多く住むプロンポンの1駅西。
BTSアソーク駅とMRTスクンビット駅が交差し、オフィス、大型商業施設、ホテルが集まる都心の代表的なエリアです。
2026年10月の1ベッドルーム平均募集家賃は約36,484バーツ。
約17万1,000円です。
トンロー|日本人にもなじみの深い高級住宅エリア
トンローはプロンポンの1駅東。
日本料理店、日本人向けサービス、高級レストラン、バー、高級コンドが多く、日本人駐在員にも非常になじみの深い住宅エリアです。
平均募集家賃は約33,513バーツ。
約15万7,000円です。
オンヌット|都心価格を避けながらBTS一本で通勤
オンヌットはプロンポンから東へ4駅。
アソークへはBTSで約11分です。
都心のスクンビット生活を保ちながら、プロンポンやトンローより家賃を抑えやすいため、タイ人会社員だけでなく外国人居住者にも選ばれる住宅エリアです。
平均募集家賃は約18,959バーツ。
約8万9,000円です。
バンナー|都心から東へ広がる郊外住宅エリア
バンナーはプロンポンからBTSで約8駅。
アソークまではBTSで約20分です。
道路距離では中心部から10km強ですが、車は渋滞の影響を大きく受けます。
近年はバンナーからスワンナプーム空港方面に大型商業施設、住宅開発、国際学校、高級戸建て開発などが広がっています。
REICもバンナー・スワンナプーム方面を、産業・物流・大型インフラ開発によって成長するバンコク東側の重要エリアとして挙げています。
平均募集家賃は約13,259バーツ。
約6万2,000円です。
「平均給与」と都心家賃を比べると見えてくるもの
バンコクの民間従業員平均月給は約19,049バーツ、約8万9,000円。
一方、アソークの1ベッドルーム平均募集家賃は約36,484バーツ、約17万1,000円。
トンローでも約33,513バーツ、約15万7,000円です。
平均的な民間従業員が一人でこうした都心物件に住むことは簡単ではありません。
都心の駅近コンドに住む人には、例えば次のようなケースがあります。
・給与が平均よりかなり高い
・夫婦やカップルで家賃を分担する
・会社から住宅手当が出る
・家族所有の物件に住む
・購入済みの物件で家賃を払っていない
逆に、月給2万〜3万バーツ前後の若い会社員なら、次のような選択が現実的になります。
・職場から離れた場所へ住む
・築年数の古いアパートを選ぶ
・駅から離れた物件を選び、バイクタクシーを使う
・実家から通勤する
・ルームシェアをする

オンヌットやバンナーまで離れると、同じ予算で選択肢が変わる
都心からBTSで東へ進むと、住宅価格と家賃は下がっていきます。
例えばオンヌット。
プロンポンから4駅、アソークまで約11分という距離にありながら、2026年のPropertyScout掲載データでは、1ベッドルームの平均販売価格は約392万バーツ。
約1,840万円です。
平均㎡単価は約11.5万バーツ、約54万円でした。
さらに東のバンナー駅周辺では、1ベッドルームの平均販売価格は約321万バーツ。
約1,507万円。
平均㎡単価は約10.5万バーツ、約49万円です。
さらに駅から距離を取った中古物件では、これより安い物件も見つかります。
つまり、
・アソークやトンローに住む予算はない
・でもBTSを使って都心へ通いたい
という人にとって、オンヌット、バンナー、ベーリングなどは現実的な選択肢になります。
ただし、駅から徒歩15分離れれば、今度はバイクタクシーやソンテウを使う生活になることもあります。
バンコクでは「最寄り駅名」だけでなく、「駅から家まで最後の1〜2kmをどう移動するか」までが通勤です。
さらに郊外へ行けば「部屋」ではなく「家」を選べる
さらに首都圏の外側へ行くと、住宅の選択肢そのものが変わります。
ノンタブリー
バンコク北西に隣接する県です。
MRTパープルライン、高速道路、大規模住宅地があり、行政上は別県でも生活圏はバンコクとつながっています。
日本でいえば、東京都心へ通う埼玉・千葉の住宅地に近い感覚です。
パトゥムタニー
バンコク北側。
ランシットを中心に大学、大型住宅地、工業・物流施設が広がっています。
車と高速道路を使ってバンコクへ通勤する家庭も多いエリアです。
サムットプラカーン
バンコク南東側。
バンナーの先からスワンナプーム空港方面へ続きます。
BTSスクンビット線も伸び、工業地帯と住宅開発が共存しています。
2026年のPropertyScout掲載物件では、
パトゥムタニーのタウンハウス平均価格は約286万バーツ、約1,342万円。
3ベッドルーム一戸建ては約500万バーツ、約2,347万円。
ノンタブリーのタウンハウス平均は約347万バーツ、約1,629万円。
3ベッドルームタウンハウスは約344万バーツ、約1,615万円でした。
個々の物件条件による差は大きいですが、都心コンド一室の価格で、郊外なら複数寝室と駐車場を持つ住宅が選択肢に入ることが分かります。
都心の30㎡か、郊外の3ベッドルームか
これはバンコク圏で家を考えるときの象徴的な比較です。
例えば700万バーツ、約3,285万円前後の住宅予算を考えてみます。
バンコク中心部なら、新築30㎡前後のコンドになる可能性があります。
郊外なら、
・3ベッドルーム
・2〜3バスルーム
・リビング
・キッチン
・駐車スペース
を持つ一戸建てやタウンホームまで候補に入ります。
もちろん、単純に広い方が得という話ではありません。
| 比較 | 都心駅近コンド | 郊外タウンホーム・一戸建て |
|---|---|---|
| 住宅面積 | 30〜50㎡前後が多い | 100㎡を超える物件も多い |
| 同予算での寝室数 | 少ない | 多い |
| 駐車場 | 限定的 | 1〜2台以上も一般的 |
| 通勤 | BTS・MRT中心 | 車中心 |
| 渋滞影響 | 比較的小さい | 大きい |
| 子育て | 面積面で制約 | 部屋数を確保しやすい |
| 外食・買い物 | 徒歩圏に多い | 車移動が多い |
| 生活時間 | 通勤を短くしやすい | 家の広さと引き換えに長距離通勤 |
「郊外の家+車」はタイ人にとってどんな意味がある?
タイでは、若い時期にアパートやコンドで暮らし、結婚や出産をきっかけに郊外住宅へ移る家庭があります。
もちろん全員がそうするわけではありません。
・一生コンド暮らしを好む人
・親と同居する人
・地方に家を持ち、バンコクでは賃貸する人
もいます。
ただ、郊外のゲーテッド住宅地で、
・複数寝室の家
・自家用車
・子ども
・クラブハウス
・警備
という暮らしは、バンコク圏で家庭を持った中間層・上位中間層の一つの生活像としてよく見られます。
住宅広告でも、
・駐車台数
・共用プール
・セキュリティ
・学校へのアクセス
・高速道路へのアクセス
などが重要な訴求点になります。
その意味では、家と車の組み合わせが「安定した家庭生活」や経済的余裕を表す一つのイメージになることはあります。
ただし、それは単なる見栄だけではありません。
バンコク郊外では、車が生活インフラでもあるからです。
・子どもを学校へ送る
・買い物へ行く
・週末に家族で出かける
・高齢の親を病院へ連れて行く
こうした生活を考えると、家と車はセットになりやすくなります。
問題は、毎朝その車で都心へ行かなければならないこと
郊外一戸建ての最大の弱点は、通勤です。
TomTom Traffic Indexによると、2025年のバンコクの平均渋滞レベルは67.9%。
平均的な10kmの移動には22分59秒。
朝のラッシュでは10kmに25分45秒。
夕方のラッシュでは31分25秒かかりました。
夕方の平均速度は時速19.1kmです。
年間でラッシュ時の渋滞によって失われた時間は115時間と推計されています。
そのため郊外住宅を選ぶときは、「会社まで何kmか」だけでは十分ではありません。
・高速道路入口まで何分か
・朝7時に出ると何分かかるか
・学校への送迎を誰がするか
・高速道路料金はいくらか
・家族で車を何台必要とするか
までが住宅条件になります。
BTS沿線に住む人は「時間を買っている」
一方、駅近コンドの価値は広さだけではありません。
時間です。
朝、
・エレベーターで1階へ降りる
・駅まで5分歩く
・BTSへ乗る
・アソークやサイアム、シーロム方面へ移動する
道路が大渋滞していても、鉄道の所要時間は車ほど大きく変わりません。
その代わり住宅費は高くなります。
都心コンドは、高い住宅費を払い、通勤時間を短くする暮らし。
郊外戸建ては、長い通勤時間を受け入れ、広い住宅を得る暮らし。
と考えると、バンコクの住宅選びがかなり分かりやすくなります。
バンコク通勤は「家から駅」が意外と重要
日本の都市では「駅まで徒歩10分」という表現がよく使われます。
バンコクでは少し違います。
駅から2kmのコンドに住み、
・コンド前からバイクタクシー
・BTSやMRTへ乗車
・会社最寄り駅から再びバイクタクシー
という人もいます。
バスやソンテウを組み合わせることもあります。
一つの通勤で、
・徒歩
・バイクタクシー
・鉄道
を組み合わせるわけです。
駅から遠い住宅が必ず不便というわけではなく、その間を短距離交通が埋めています。
4つの「バンコク生活モデル」で考えてみる
ここからは、統計と2026年の住宅市場を基にした仮想例です。
正式な所得階層区分ではなく、「収入と住宅選択がどう生活を変えるか」を理解するためのモデルです。
実在の人物ではありません。
Model A|20代前半・若手会社員
月給:18,000〜25,000B程度、約8.4万〜11.7万円
住まい:郊外アパート、古めのコンド、実家
通勤:バス、バイクタクシー、BTS・MRTを組み合わせる
自家用車:なし、またはバイク
この層にとって、アソークで月3万バーツ以上の部屋へ一人で住むのは現実的ではありません。
・駅から離れた部屋を選ぶ
・家族と暮らす
・職場から離れる
という選択が増えます。
Model B|30代・都市型専門職
月給:40,000〜70,000B程度、約18.8万〜32.9万円
住まい:オンヌット、プラカノン、ラマ9などのコンド
オンヌットとプラカノンは日本人が多いプロンポン・トンローからBTSで東へ数駅。
ラマ9はアソークの北東側にあり、近年オフィス、商業施設、コンドが増えている新しい都市中心地です。
通勤:BTS・MRT
自家用車:持たない場合も多い
家賃は月15,000〜25,000バーツ、約7万〜11万7,000円前後。
部屋は30〜40㎡程度。
・通勤が短い
・駅に近い
・外食しやすい
・車を維持しなくていい
というメリットがあります。
「住宅面積ではなく都市の時間を買う」生活です。
Model C|30〜40代夫婦・子ども1人
世帯月収:70,000〜120,000B程度、約32.9万〜56.3万円
住まい:バンナー、サムットプラカーン、ノンタブリー、パトゥムタニーなどのタウンホーム・一戸建て
通勤:自家用車、高速道路
車:1〜2台
子どもが生まれると、
・もう一部屋欲しい
・学校への送迎が必要
・親が泊まれる部屋が欲しい
・荷物が増える
といった理由でコンドが手狭になります。
そこで郊外住宅が選択肢になります。
3ベッドルームと駐車場を確保できる代わりに、毎朝の渋滞を受け入れる生活です。
Model D|高所得世帯
世帯月収:150,000〜200,000B以上、約70万〜94万円以上
住まい:プロンポン・トンローなどの都心高級コンド、またはバンナー、パタナカーン、ラマ9外縁などの高級ゲーテッド住宅
主な移動:自家用車・運転手付き車が中心
車:複数台の場合もある
高所得層でも、駅直結や駅近の高級コンドに住み、職場も中心部ならBTSやMRTを利用する人はもちろんいます。
ただし、郊外大型住宅に住む家庭や、
・国際学校への送迎
・複数の仕事先への移動
・家族全員での外出
がある家庭では、自家用車や運転手付き車の比重が高くなると考える方が自然です。
この層では「駅に近いか」だけではなく、
・国際学校
・高速道路
・大型病院
・高級モール
・プライバシー
・住宅ブランド
なども住宅選択に入ります。
| モデル | 月収・世帯収入の目安 | 住まい | 主な通勤・移動 |
|---|---|---|---|
| A 若手会社員 | 個人18,000〜25,000B/約8.4万〜11.7万円 | 郊外アパート・実家 | バス+バイク+鉄道 |
| B 都市型専門職 | 個人40,000〜70,000B/約18.8万〜32.9万円 | 駅近コンド | BTS・MRT中心 |
| C 郊外家族 | 世帯70,000〜120,000B/約32.9万〜56.3万円 | タウンホーム・一戸建て | 自家用車+高速 |
| D 高所得世帯 | 世帯150,000〜200,000B以上/約70万〜94万円以上 | 高級コンド・大型戸建て | 車・運転手付き車中心。都心居住なら鉄道利用もあり |
この所得帯は生活像を説明するための仮想レンジで、タイ政府による公式な社会階層区分ではありません。
Model BとModel Cの朝を比べると、同じバンコクとは思えない
朝7時45分、オンヌットのコンド
オンヌットはプロンポンからBTSで4駅東。
アソークまでは約11分です。
エレベーターで1階へ。
徒歩でBTSへ。
電車でアソークへ向かう。
駅を降りればオフィスまで徒歩。
車を運転する必要はありません。
30㎡台の部屋は広くありません。
でも会社まで30分程度なら、平日の自由時間を確保しやすくなります。
朝6時30分、パトゥムタニーの一戸建て
パトゥムタニーはバンコク北側の首都圏郊外。
ランシットを中心に、大型住宅地が広がるエリアです。
子どもを車へ乗せる。
学校へ送る。
高速道路へ入る。
バンコク中心部へ向かう。
道路状況によって到着時間が変わるため、早めに家を出ます。
家には3ベッドルーム。
車は2台。
庭や共用公園があります。
しかし毎日の通勤時間は長くなります。
どちらが豊かな暮らしなのか。
これは収入だけでは決まりません。
・広い家がほしいのか
・自由時間がほしいのか
・子どもがいるのか
・車を運転したいのか
・職場がどこなのか
によって答えが変わります。

家と車を持っていても、「現金で余裕がある」とは限らない
外から見ると、
・新しい一戸建て
・SUV
・きれいな住宅地
という生活は裕福に見えます。
ただし、住宅も車もローンで購入している家庭があります。
タイでは住宅ローン審査が厳しくなっており、REICは2026年前半について、家計債務の高さと金融機関の厳しい融資姿勢が住宅市場に影響していると分析しています。
2026年第2四半期、バンコク首都圏ではコンドの新規販売が前年同期比19.5%増えた一方、戸建て系住宅の販売は11.4%減りました。
「家と車がある=毎月のお金に余裕がある」
とは限りません。
・住宅ローン
・自動車ローン
・学校費
・高速道路料金
・ガソリン
・保険
などを合わせると固定費は大きくなります。
このあたりは「お金・生活費」の記事で詳しく扱うテーマになります。
家を買うか、コンドを借りるか。それは年齢だけでは決まらない
以前は、
・若い時は賃貸
・結婚したら家を買う
というイメージが比較的分かりやすかったかもしれません。
現在はもう少し複雑です。
・住宅ローンが通りにくい
・土地や建築費が上がっている
・働き方が変わっている
・結婚年齢が上がっている
・一人暮らしを続ける人もいる
・車を持たず駅近に住みたい人もいる
そのため、30代や40代でも都心コンドを借り続ける人はいます。
反対に20代でも家族の援助を受けてコンドを購入する人もいます。
住宅からその人の経済状態を一つに決めつけることはできません。
「バンコクに住む」は、行政上のバンコクに住むことではない
ノンタブリー。
パトゥムタニー。
サムットプラカーン。
これらは行政上バンコクではありません。
でも生活圏としては完全にバンコクとつながっています。
朝、家を出る。
バンコクの会社へ行く。
夜、郊外の家へ帰る。
鉄道網や高速道路の拡大によって、首都圏の住宅地は行政境界を越えて広がっています。
REICも2026年の住宅市場について、バンコクの発展が中心部への一極集中ではなく、鉄道、雇用、大型商業施設、病院などを核に複数の都市中心へ広がっていると分析しています。
特に、
・ラマ9〜ラチャダー方面
・バンナー〜スワンナプーム方面
などが新しい住宅・業務エリアとして注目されています。
東京を考えると分かりやすいでしょう。
東京駅へ通勤している人が、必ず東京都内に住んでいるわけではありません。
千葉。
埼玉。
神奈川。
から通う人が大勢います。
バンコクとその周辺も、考え方は少し似ています。
バンコクの住まいを見ると、タイ社会の違いが見えてくる
高層コンドの広告だけを見ていると、バンコクは非常に豊かな都市に見えます。
実際、東南アジアでも有数の巨大都市です。
でも一歩生活へ入ると、
・平均給与
・都心の住宅価格
・家賃
・郊外の住宅地
・自動車ローン
・通勤渋滞
という現実があります。
ある人にとって成功とは、トンローの高級コンドに住むことかもしれません。
別の人にとっては、郊外に3ベッドルームの家を買い、子どもと暮らすことかもしれません。
ある人は車がほしい。
ある人は車を持たず、駅まで3分の場所へ住みたい。
だから「タイ人はどこに住んでいる?」への答えは一つではありません。
むしろ面白いのは、
「あなたなら都心30㎡と郊外150㎡、どっちを選ぶ?」
「毎日1時間以上車で通勤しても、大きな家がほしい?」
「結婚したらコンドから一戸建てへ移りたい?」
「タイ人にとって車を持つことはどんな意味?」
と本人へ聞いてみることです。
数字からバンコクの輪郭は分かります。
でも、どんな暮らしを「いい生活」だと思うかは人によって違います。
そこから先は、実際にバンコクで暮らしている人と話してみると、もっと面白くなります。
よくある質問
バンコクの平均月収はいくらですか?
2026年第2四半期のタイ国家統計局データでは、バンコクの民間企業従業員の平均月給は19,049バーツ、2026年10月5日のレートで約8万9,000円です。ただし、職種・業界・年齢・役職による差が非常に大きいため、この金額をすべてのバンコク会社員の典型的な給与と考えることはできません。
バンコクの平均世帯収入はいくらですか?
NSOの2023年県別家計所得調査では、バンコクの平均世帯月収は40,051バーツ、約18万8,000円、中央値は28,789バーツ、約13万5,000円でした。平均は高所得世帯の影響を受けるため、「普通の家庭」をイメージする際には中央値も合わせて見ることが重要です。
バンコクで1ベッドルームのコンドを借りるといくらですか?
地域によって大きく異なります。2026年10月時点のPropertyScout掲載平均では、1ベッドルームはアソークで約36,484バーツ、約17万1,000円、トンローで約33,513バーツ、約15万7,000円、オンヌットで約18,959バーツ、約8万9,000円、バンナーで約13,259バーツ、約6万2,000円でした。
タイ人は結婚するとバンコク郊外に家を買う人が多いですか?
結婚や出産を機に、都心の小型コンドから郊外のタウンホームや一戸建てへ移る家庭はあります。広い家、複数寝室、駐車場、子育て環境を得やすいからです。ただし、すべての家庭がそうするわけではなく、駅近コンドを選び続ける人や親と同居する人もいます。
バンコクではBTS通勤と車通勤のどちらが便利ですか?
職場と住宅の場所によります。駅近同士ならBTSやMRTは渋滞の影響を受けにくく、通勤時間を読みやすいメリットがあります。一方、郊外の一戸建てや駅から離れた場所では車が生活に欠かせないケースも多くあります。2025年のTomTomデータでは、バンコクの夕方ラッシュで10km移動する平均時間は31分25秒でした。
バンコク郊外なら一戸建てはいくらくらいで買えますか?
エリアや住宅規模で非常に幅があります。2026年のPropertyScout掲載例では、パトゥムタニーの3ベッドルーム一戸建て平均は約500万バーツ、約2,347万円、3ベッドルームタウンハウスは約274万バーツ、約1,286万円、ノンタブリーの3ベッドルームタウンハウスは約344万バーツ、約1,615万円でした。掲載物件の平均であり、実際の成約価格ではありません。
